Column: Motivational Training 2
しつけトレーニングの成果をあげるために
「成功させること」と「ほめること」を学びましょう
家庭犬のトレーニングは現在、「ほめるしつけ」が主流です。
でも、ほめる=甘やかすことではありません。
そして、ほめる=おやつを与えることでもありません。
犬がものごとを学ぶ道筋や特性を理解して、
効果的なトレーニングができる飼い主さんになりましょう。
犬が成功するように飼い主さんが導きましょう
しつけのトレーニングにおいてとても大事なのが「失敗させないこと」。
いたずらに失敗を重ねないように飼い主さんが配慮することがとても重要です。
まだ完全に覚えていないのにムリにトライさせられて、
その結果、叱られたら悲しいですよね。
せっかくがんばったのに、ほめてもらえなければ、
やる気を失ってしまうかもしれません(人間だってそうです)。
犬は成功を繰り返すことで、ものごとを理解していきます。
ですから、飼い主さんはまず犬が失敗しないような環境を整えてあげてください。
また、犬はものごとを一般化することがニガテです。
犬は学習の場面を「映像」とともに学習するため、
映像が違うと、戸惑ってしまうことがあります。
例えば、リビングで「オスワリ」ができたとします。
それならと、庭で「オスワリ」と言ったのにできない。
飼い主さんは、一度できたのになぜできないのと思うかもしれません。
しかし、この二つは「映像」がまったく違うため、
犬は同じようにやればいいんだと考えないのです。
一度、覚えたことでも、環境や状況が大きく違えば、犬は「まったく新しいこと」としてとらえます。
そんなときに、「前はできたのになぜできないの!」と叱らないこと。
犬という動物の特性を理解し、失敗させないように工夫しましょう。
リビングでできたら廊下で、廊下でできたら玄関で、
玄関でできたら庭で……と、いろんな場所で教えましょう。
「映像」が違うのだから、彼(彼女)にとって新しい体験なんだと
飼い主さんが理解していれば、きっとうまくいくはずです。
犬は経験から学習します。
犬にとって「よいこと」「楽しいこと」は何度でも繰り返しますし、
「悪いこと」「嫌なこと」は避けるようになります。
ですから、しつけのトレーニングでも、「成功させること(失敗させないこと)」が大事なのです。
「ほめるしつけ=おやつを与える」ではありません
さて、もっと具体的な「しつけ」の話をします。服従訓練(オビディエンス)のことです。
「服従」という言葉が入っているので、力で圧倒して無理やり相手に言うことを聞かせる
といった「服従」のイメージが強くなってしまいがちですが、そういう意味ではありません。
そういう意味では、あまり適切な名称ではないかもしれませんね。
具体的には、犬の行動に対してきちんとほめるということ。
「グッド」や「おりこう」と声をかけるだけでなく、おやつをあげたり、おもちゃで遊んだり、
犬にとって「よいこと」を与えるという意味が含まれています。
これによって愛犬は、飼い主さんの言うことを聞くのは楽しいと考えるようになります。
そして、飼い主さんが何か言ったときに「聞いてみよう」と思うはずです。
その意味でも、飼い主さんがわかりやすい指示を出すことが大事です。
犬は人間の言葉がわかりません。犬にとってわかりやすい、つまり明瞭な言葉を使い、
家族全員が同じ号令を使う、ということが大切です。
犬は、はじめから「オスワリ」の意味は知りません。
でも、まず、例えばおやつで誘導して犬を座らせ、座ったことをほめます。
その次に「オスワリ」と声をかけて、その後に誘導し、犬がすわった瞬間に褒めるようにします。
これを何度も繰り返すことで、「オスワリ=座ること」と犬が理解するようになります。
また、このとき、できたことをほめてあげることがとても大切です。
「ごほうび」とは、おやつをあげることだけではありません。
おもちゃで遊ぶことがごほうびになる犬もいますし、なでることがごほうびになる犬もいます。
散歩が大好きなら、散歩に出かけることがごほうびになります。
「ほめるしつけ」を実践する場合、おやつだけ与えていればいいと勘違いしがちです。
しつけの本などに「おやつを与える」と書いてあるのは、
どんな犬にも当てはまりやすい共通項だから。
「おやつ=ほめる」ではありません。
おやつの使い方にはコツがあります。
「おやつ」でほめるのではなく、「グッド」や「おりこう」というほめ言葉の掛け橋として
おやつを使うようにします。
おやつを食べている間に「グッド」という言葉をかけ、
「おやつ=いいこと」→「グッド」と関連付けて学習するように導きます。
つまり、「グッド」という言葉が「いいこと」を連想させるように、繰り返し伝えていくというわけです。
最終的には、「グッド」や「おりこう」というほめ言葉を聞くだけで犬が喜ぶように、
繰り返しトレーニングしましょう。
オスワリをすると「おやつがもらえる」のではなく、
オスワリをすると「ほめられるので楽しい」と考えるように上手に導きましょう。
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